ごあいさつ


Introduction

「日本の音楽教育は間違っている」
「日本では本物の音楽は学べない」

このような言葉を目にしたり,耳にしたりしたことはあるでしょうか。
音楽を学ぶ者にとっては衝撃的かつ攻撃的な言葉ですが,実はこれらの言葉は昔から言われ続けてきたものです。
日本にはクラシック音楽の土壌がなく,本場の西洋からも遠く,だから,

「将来音楽家を目指すなら早いうちに本場ヨーロッパに留学したほうがいい」

と,海外留学がその問題を解決する唯一の答えであるかのように言われてきたものでした。
でも,本当にそうでしょうか。

最近は韓国や中国をはじめ,アジア諸国から優秀な演奏家が次々と輩出されています。彼ら彼女らの多くは母国で音楽教育を受けた国産の音楽家です。クラシック音楽の土壌のなさは日本と変わらないはずなのに。
彼ら彼女らはどうやって「間違いのない」「本物の音楽」を自国で学び得たのでしょうか。

この答えは実は簡単で,クラシック音楽教育の後発組のこれらの国々は,国が音楽教育にテコ入れを始めた20世紀終わりから21世紀初頭,すでに本物の音楽を学んだ自国の音楽家が欧米ロシア諸国に大勢いて,そこから帰国して教鞭をとった指導者たちが本物の音楽教育を母国に持ち込んだのですね。
日本にクラシック音楽が伝わり音楽教育が始まったのは明治初期。少々早過ぎたのかもしれません。
そして残念なことに教育予算を年々削るこの国では,アジアの他の国々のような飛躍は望めないのかもしれません。

ところで,アジア諸国の指導陣が本場欧米ロシアから持ち帰った本物の音楽とはどのようなものでしょう。
(わたしたちは案外,何が「本物」なのかよく知らないまま「本物の音楽は〜」と口にしていたように思います)
わたしがヨーロッパ人の師匠や欧米諸国のピアノ教授らから教わった方法は非常に明確で,音楽の的を端的に射抜いたものです。論理的で辻褄の合わないことはなく,音楽芸術を合理的に実践できるものです。
ピアノを専門に学ぶ方ならショパンのピアノメソッドをご存知でしょうか。
ショパンのピアノメソッドがわたしたちが「本物」と呼ぶそのものであります。

ノータジェーナスクールでは,ショパンのピアノメソッドをベースに,欧米ロシアで実際に行われている指導法を重ね合わせ,日本人のスキルに合わせて構築したメソッドをお教えします。
ピアノの演奏や指導にいまひとつ自信が持てないという方も,おそらくこれを習得することで確信を持ってピアノに向かうことができるのではと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2025年12月
滝 和子(Notallena代表/Notallena School講師)

講師略歴
桐朋学園大学声楽専攻卒,同研究科修了
2008年よりピアノを再開,ピアノをS. Kowalewski氏に師事
Piano Texasなど国内外のマスタークラスで著名ピアノ教授らのレッスンを受講
海外のアマチュア国際ピアノコンクールにて入賞
元公立中学校音楽科教員
JICAシニア海外ボランティアでドミニカ共和国に派遣,現地の音楽学校にて発声法とピアノ奏法を指導
局所性ジストニアのコントロール法と奏法研究
執筆『演奏科学-海外研究体験記』(表面と真空2019年62巻4号)